アメリカン・スナイパー(2015)/クリント・イーストウド監督
*1:実際の功労者はブラッドリー・クーパーですがね。太った役作りも凄かったし。
*2:とはいえ、見る側にブン投げているので、見る側の知識やリテラシーによって感想は大きく変わるタイプの作品です。たとえば監督が共和党の政治家で銃所持には賛成なんだけど、イラク戦争には反対という立場であるとか、主人公が所属しているSEALsとは何なのか、とか普通の日本人だと知らない知識が結構解釈上重要になってきます。
くもりときどきミートボール/クリス・ミラー&フィルロード監督
フォックスキャッチャー/ベネット・ミラー監督
「アメリカの狂気」を冷徹に描いた映画、が昔から好きです。具体的にはポール・トーマス・アンダーソン監督の作品群であるとか、コーエン兄弟の「ノー・カントリー」とか。本作はまさにその系譜でしょう。
これらの映画が突きつけてくるのは、結局のところアメリカの現代というのは「金・暴力・狂気・歪んだ人間関係」に尽きるだろ、というメッセージです。これは、アメリカに限定された話ではなくて近代人間社会に共通するものでもあると思います。決してアメリカだけがおかしい、という話ではありません。だから、興味を惹かれるのだと思います。
本作監督のベネット・ミラーによる「マネーボール」もかなり好きな作品なのですが、あの作品は脚本がアーロン・ソーキンということもあって、セリフも多く展開も巧みでした。対して今作は、セリフが少ない、音楽も少ない、(そして最終的には登場人物の関係が破綻して殺人になるんだよね*1という共通理解もある)という中で、ずっと高い緊迫感が映画を支配しています。映画館中が固唾を飲んでる雰囲気、これが映画館で見る醍醐味でもあり、良かったです。疲れましたけど。この空気感づくりは、監督の演出力の賜物でしょう。アカデミー賞で監督賞に推されているのも分かります。
役者の皆さんの演技がすごい、というのは本作については言われ続けているところですが、日本人である自分はこの役者さんたちの普段の姿を知らないため、「ギャップ萌え」の要素はないものの、そんな要素は無くても超一級の役作りと演技であることは伝わってきました。
今回の鑑賞場所は渋谷のシネマライズ。相変わらず味のある建物です。本作、日本で受ける要素の少ない映画だとは分かりますが、観客は少なくて残念。こういう作品を楽しめる同好の人が増えて欲しいです。
*1:実は私は誰が誰を殺すのか知らずに行ったので、余計に疲れました。アメリカ人なら皆知ってる事件なので、それを知ってから見にいくのもネタバレとまでは言わないのでしょうけれども、知らずにいくのがオススメです。疲れますけれど。
レゴムービー
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昨年の映画の中でも特に評判が高かったので、気になっておりDVDにて見た。
世の中にはまだまだ想像を超えるエンターテイメントがあるのだなぁ、と感心。
CGの映像もさることながら、音楽と脚本のテンポの良さによって産み出されているグルーブ感がたまらない。サブカル的な小ネタの数々と練られた作品構造に自分は特に満足したが、子供は子供で気に入っているので、DVDを家に置いてもいいくらいだと思った。
この映画の Everything is awesome!
Everything Is AWESOME!!! -- The LEGO® Movie ...
おまけ
宗教好きな人間としては、「選ばれし者」とブロック人形と創造主が出てくる映画だから、どうしても「キリスト教構造」を考えてしまう。選ばれし者・・・預言者であり、キリストですね。
ベイマックス(Big Hero 6)/ドン・ホール監督
感想としては「ディズニー、安定の横綱相撲」「期待通り
監督には中堅どころを起用しつつ、エンドロールを見てい
余談ながらジブリはどうなるのか、、なんてまた思ってしまう。日本のスタジオの方が「職人・天才頼み」で、ハリウッドの方が「分業して組織化され資本を集めた」なんていうことを何人かの人が指摘しているが、自分も仕事柄そちら方面も大いに気になってウォッチしている。(ディズニーがジブリを買収する、という観測もあり、目が話せない)
ちなみに、エンドロールにはHuman Resorceとして「人事」もクレジットされている。多分、雑用係的な仕事を担当されているセクションなのだろうけれど、いつも気になる。
インターステラー/クリストファー・ノーラン監督(2014)
ジャージー・ボーイズ/クリント・イーストウッド監督
映画『ジャージー・ボーイズ』予告編(ロングバージョン)【HD】 2014年9月27日公開 - YouTube
私の敬愛するクリント・イーストウッド監督(84歳!!)の作品で割と評判が良い、という情報以外を入れずに行った。
その結果は…第一印象はちょっと予想外ではあった。残り幾つも作品を撮れるわけでもないイーストウッドが今さらこれ?、という気持ちを拭えなかったのだが、反芻するにつれ、これはこれで素晴らしい映画だと感じて来た。イーストウッドの「エンターテイメント(ビジネス)への讃歌」なのだと解釈した。あとは、イーストウッド云々とは別に、楽曲の力、原作となったミュージカルの力が素晴らしいし、それを楽しめばいい。
この映画、原作のミュージカルでも主役を張っているというジョン・ロイド・ライトがとにかく凄い。クライマックスの名曲「君の瞳に恋してる」を歌い上げる場面は目に焼き付いた。あとから調べたら、ここは史実ではなくフィクションが入っているようだが、映画なんだからそれは当たり前。むしろ、この曲に至るまでの数分の流れと曲の見せ方こそが、素晴らしかった。これこそがイーストウッド監督の手腕と言えるのかもしれない。
主人公のヴァリ(存命・80歳)は、イタリア系アメリカ人にとっての北島三郎みたいな存在(by 山下達郎氏)だそうだ。
ちなみに、映画館は丸の内ピカデリーのスクリーン1。大きく、ゴージャスだ。この映画をこのスクリーンで見られたことが自分の人生の財産だ。
ああ、でももう来年の公開が決定している、という監督の新作「アメリカン・スナイパー」が楽しみでならない。