破壊と創造の人事/楠田祐 大島由紀子


破壊と創造の人事

破壊と創造の人事



企業の人事部を訪問すること、なんと、年間数百社という著者が論じる「日本企業のHRMの問題点2011」という感じの本。

ちょうど著者が大企業人事部をみてきた1998年から現在というのは、自分がコンサルとして活動してきた時期と重なる。さらに、描写の対象が比較的大きな企業というのも似ていて、違和感なく「そうだよな〜」と思いながら読み進めた。

印象に残ったのは、

  • 人事制度企画部門と人材開発部門を隔てる「ガラスの壁」

という第二章の一節のタイトル。(この節、58p〜62pは特に面白かった。)

大企業人事部に通じている人なら特に「あるある」と思うタイトルだと思う*1。(逆に言えば、人事畑以外の人にはあまり刺さらない表現かもしれない)。そして、人材開発部門に所属した人材が、だんだんニッチな方向を極めて行く傾向がある、という著者の指摘も、またドキリとさせられる内容である。

ところで、自分はコンサルタントとして、「制度企画部門」と「人材開発部門」の両方にかなりディープにコミットさせてもらってきた。これはそれなりにユニークな経験なのかなと思った。両者に橋を掛けていくのが、もしかしたら、自分のミッションなのかもしれない。

*1:ただし実際には、もう一つ「異動立案・運用部門」というのも大きなカギを握っているのだが