対話流/北川達夫 清宮普美代
- 作者: 清宮普美代,北川達夫
- 出版社/メーカー: 三省堂
- 発売日: 2009/07
- メディア: 単行本
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一年半くらい前にとある取材でお会いしてから、北川達夫先生の語ることに大変興味・共感を持っている。
もっぱら教育界でのご活躍が目立つ方だが、「ビジネス界こそ、この先生の話を聞くべきだ」と思っていたら、週刊東洋経済の連載コラムが始まった。見ている人は見ているな〜と、僭越ながらに思ったりした。
ビジネス界に勤める人には、この東洋経済の連載記事が非常にオススメなのだが、書籍としてまとまるのは現段階ではまだ先のようなので、書籍としてまとまっているこちらをご紹介する。
特に以下の部分では、自分が個人的にもやもやと思っていたことが、見事に言語化されていて非常に印象に残った。
とくに大切なのは、世界には学ばなければわからない価値があり、かつ、それを学んでわかっている人たちも存在するということを教えることです。
例えば、私が十三代目なんとか左衛門のつくった茶碗を見て、ただの小汚い茶碗にしか見えなかったとしても、「これは小汚い茶碗だ」とは言わない。それが学ばなければならない価値だと思うからです。
もちろん「どう思いますか」と聞かれたら「小汚い茶碗にしか見えませんね」と言ったって構わないんですよ。でも、
「きっと分かる人には分かるんでしょうね」と付け加えるでしょう。
他者との違いを「恐れる」必要はありませんが、自分とは違う他者と、自分の理解できない価値を「畏れる」必要はあるんです。
学ばなければわからない価値への畏れ、他者の創造力に対する畏れなどが、厚みと深みのある社会をもたらしている。それを認識するからこそ、さらに深く知ろうと思う。つまり、次への学びとつながるんですね。
P 189より
経験的に、コンサルタントとしての成長にもこの「畏れ」が大きく関係していると思う。「畏れ」のある人は成長する。
逆に「恐れ」ている人は成長が限られる。
「畏れ」も「恐れ」も無い人は論外(笑)。
もっと言うと、自分の子供にも、この感覚だけはなんとか伝えたいし、もしこれさえ伝えられれば、あとのテクニカルスキルや知識は敢えて伝える必要は無いといっても良いように思う。