デフレの正体 経済は「人口の波」で動く/藻谷浩介

デフレの正体  経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)

デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)



2010年話題の新書であり、年明けには菅総理も購入した、という本。


確かにこれは、面白い。特に、内需関連ビジネスに従事する人はぜひ今の日本の姿の基本認識を作る本として読んだ方が良い。

人事コンサルタントや人事業務関係者も、給与や雇用に関する話題の基本としてぜひ読むべきと推薦したい本。(特に第9講、第10講は必読では?)




毀誉褒貶が激しくなるほどに売れてしまった本書の内容*1については、「ぜひ自分で読んでください」とだけしておいて、本書が25万部売れる要因を分析してみよう。

第一に、内田樹の本や、楠木先生の「ストーリーとしての競争戦略」に通じる、素晴らしい語り口(文体)。

  • 適度な会話調。(講演がベースになっている)
  • 仮想敵を作ってdisる。(本書の場合は経済学者やお受験エリートなど)
  • 比喩、喩え話が巧み。
  • へり下りと強気のブレンドが絶妙。

などが素晴らしい。


第二に、本書で良いと思ったのは、日本を愛し*2、日本の将来像に著者なりの明快なビジョンを示していること。これが良いな、と思った。


新幹線の中で一気に読んだので、もう一度落ち着いて読んでみたい。

そして、自分が出来る行動を少しでも考えたい。

*1:たとえば、人口減少だけがデフレの原因じゃないよ、韓国やロシアを見てみろよ。という意見などがある。しかし、嫉妬としか思えないアマゾンの低評価レビューは読んでて寂しくなる。確かに、タイトルは、「内需不振の正体」とか「資金循環不全の正体」とかした方が正確ではあったかもしれないけれど、そんなの重箱の隅だと思う。

*2:ただし、ネット右翼の事は激しくdisっており、短絡的な愛国とは一線を画す