ソーシャル・ネットワーク/デヴィッド・フィンチャー監督



見てきました。



映像が綺麗です。音楽のセンスも抜群に良いです。脚本は「アーロン・ソーキン*1」クオリティで特に会話の部分が舞台劇のようにハイレベルです。役者の演技も最高です。




それでも、見終わったあと、どこか物足りなく感じてしまいました。

この感覚は、おそらく、映画の前にデビット・カークパトリック氏の手になる素晴らしいノンフィクションを読んでいたことが原因か、と。そして、これがここ7〜8年に実際に起こったこと、という「事実は映画よりも奇なり」を扱った話だからなのだと思います。

もうひとつ、自分がこの映画にのめり込めないのは、これが「事実を参考にしたフィクション*2」を謳っているタイプの作品だからです。昔から、自分はこの手のものが好きではないのです。端的にいって卑怯なクリエイション手法だと思うのです。特に対象を批判的に描く場合、描かれる側にとっては堪ったものではないでしょう。

製作者側は事実を匂わせて観客を引っ張り込みながら、「これは違う!」と言われたら「フィクションですから」と逃げられる。これを思ったのは、山崎豊子の「沈まぬ太陽」他作品を読んで、その事実との差異を調べたことがきっかけです。もちろん、「ノンフィクション」だって、客観的事実ではなく、作家の主観による構成物なのですが、それでも作家は自分の名前で責任を取っています。

というわけで、色々ケチをつけましたが、上記の感想は自分が先に「フェイスブック 若き天才の野望」を読んでから映画を見た、という順番を踏んだことに関係していると思います。映画先に見て、この本を読む、という順番が妥当かも。


グダグタ書きましたが、上の動画のよく出来た予告編*3を見れば、この映画の高いクオリティはお感じいただけると思います。オススメです。

*1:大好きなドラマ「ホワイトハウス」の製作総指揮者として尊敬してます

*2:今の大河ドラマはじめ、歴史小説物は別に嫌いじゃないです。司馬遼太郎の作品の創作性なんかは分かって読んでいるので気にならないけど、現代に近いところでこれをやることにアレルギーを感じるのかな自分は・・・

*3:音楽が最高ですね。レディオヘッドのCreepをベルギーの少女合唱団が唄う、とか、こんなものあるのか!!と、驚きました。歌詞もこの映画で表現したいこととうまくシンクロしているし。