キュレーションの時代−「つながり」の情報革命が始まる/佐々木俊尚


キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)

キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)


フェイスブックツイッターといった新しいメディアの意味について幅広く考察されていて大変面白かった。ただし、著者も分かっている通り、これらに熱心にコミットしている層は、日本の中ではごく一部*1である。そしてそれは、将来もマイノリティに留まる可能性だってある。本書が提示するようなメディアの未来像は、ごく一部で実現していくものだと思う。

本書において、キュレーション、ビオトープアンビエント化など、絶妙なキーワードで同時代で起こっていることを切り取っていく著者の著述は見事である。「コカ・コーラのCM集」や「バブル期の広告コピー」を題材に「文化」がいかに移ろいやすいものであるか、を指摘したり、フランスでのブルカ論争から普遍主義と相対主義が同時に起こっていることを指摘したりするあたりは大変知的好奇心を惹かれる内容だった。

僕は著者が言うほどには、「コンテンツの時代が終わり、キュレーションが王だ」とは思わない。コンテンツを軽視すべきではない。しかし、僕自身はどちらかというと元来キュレーター体質である。このブログもまさに著者の言う「キュレーション」「キュレーター」であることを目指していきたい。

*1:往々にして、その渦中にいるユーザーは、新しいメディアを過大評価してしまうものであるが。