原発危機の原因
福島第一原発は、なぜ爆発してしまったのか?不可避だったのか、人災だったのか?
東京電力が悪いのか、政治が悪いのか、それとも誰も悪くないのか。
これはおそらく、今後、日本人が永久に問い続ける、そしておそらく真相は分からない問題だろう。(国が第三者委員会を作るらしいが、それで真相が解明できるとは思えない。なんとなく、JALの御巣鷹山の事故のような帰結になる気がする)
とはいえ、震災から1ヶ月たち、幾つか力のある検証記事が出てきた。どれか単独の記事に真実があるとは思わないが、これくらい読むとなんとなく、本当らしきことは浮かび上がってくる。
毎日新聞 検証 大震災http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110404ddm010040023000c.html
※毎日新聞偉い!と思った記事。相対的に少ない予算と人員だろうに心意気を感じる。それに引換え、読売・産経は読むに耐えないトバシ記事が多すぎ。
AERA 4月11日号 「原子力村」ドンの大罪
※大鹿記者。ライブドアの頃から注目しています。東電に厳しいスタンス。東電の原子力部門を関東軍扱い。
日本経済新聞 4月8日 「震災 緊迫の48時間 原発危機 想定超す」
※見開きを使って冷静な記事。政府批判にやや力点。東京電力を批判することもしているが、他の媒体よりもちょっと甘め。そこは株式会社日本の社内報、といわれる日経ですから経団連の会長企業は叩けません。デジタル版登録者ならWEBで記事が読めます。
FORSIGHT 東電亡国論の現実味
http://www.fsight.jp/article/10394
※直後の真相、という記事ではないが面白かったのでご紹介。
ここで、それぞれ立ち場が違うはずのどの記事を読んでも概ね共通なことをまとめてみた。
・菅首相は相当早期に問題に気づいて直接指示をしていた。(日経の手にかかると、トップのくせにちょっと陣頭に出過ぎ、となる。でもやってなければやってないで、叩かれるのだから。)
・相当な初期から政府と東電の間に不信感が広がっていた。
・電源車が急遽到着したが、そこでうまく電源接続できなかったことが相当致命的。(ここは大きなポイント。技術的な観点からの検証が必要。ケーブルが届かない/合致しなかった、という記事もあれば、そもそも電源車が届いてもムダだったのではないか?という記事もある。)
・ベントは着想から実施まで、なぜか遅れた。(この原因はまだ分からない。)
・海水注入も着想から実施まで、なぜか遅れた。(この原因を東電の商業主義に帰する論調が多いが、これは更に検証してから論じるべきだろう)
・斑目委員長は…。
事故が起きてからは、批判されている東電原子力部門以下、みんな、それなりに必死にやった結果がこれだと思う。
爆発させたかった人は誰もいない。これが実力で現実。他の国で同じことが起こっても、日本以上にうまく対処できたかどうかは怪しい。
結局のところ、この直後の48時間の戦術以前の戦略で負けていた、というのが本当のところだろう。
まだまだ解決に至っていないこの問題。日本のエンジニア・現場の力を信じて応援するしかない。