ダライ・ラマ猊下 東日本大震災四十九日法話

日本の護国寺で法要に参加して下さいました。

趣味の宗教研究はどうしてもキリスト教が中心となりますが、仏教も少しづつ勉強していて、以前から、ダライ・ラマの法話(ユーモアがあり、科学的)を読むのが結構好きなんですが、これも良かったです。

全文は長いですが…。

http://www.supersamgha.jp/2011/04/post-78.html


(途中から引用)


さて、次に、一人の仏教の修行者の観点から申し上げましょう。

私たち仏教徒には、何らかの逆境に立たされた場合、その逆境に立ったというその状況を、自分が悟りにいたるための道の一つとする修行の方法があります。ひどい逆境という困難は「もうすでに起きてしまった」わけですから、それを無くすことはできないのです。ですから、悲しいことが起こったと、ただ悲しんで心配するだけでは何の役にも立ちません。このことについて、シャーンティデーヴァ(漢訳名=寂天)は『入菩薩行論』の中で、このように述べています。

もし何事かが起きて、それを何とかする方法があるならば、その方法・対策を講じる努力をするべきである。そしてそれを何とかする方法が無いのであるならば、それより悲しむ必要はないのである

このシャーンティデーヴァの教え、アドバイスは非常に科学的、現実的で毎日の日常生活に即した教えとなっていると私は思います。ですから、皆さま方もそのように考えていただきたいと思います。起きてしまったことはもう取り返しがつかないのです。しかしながら、落胆し、全く勇気をなくしてしまうというのではなく、「これから先」を見つめて、再建・復興のために出来る限りの努力をしていっていただきたいのです。


(法を説く法王猊下と聞き入る参拝者たち)

ところで、私は、いつも日本を訪問させて頂きます際には、日本の友人の方々、特に学校などを訪問させていただく場合には生徒さんにお話させていただく場合に「英語をぜひ勉強していただきたい」「英語力をつけてください」というお話をしています。そこで、私自身もこれからそれを実践させていただいて、英語が出来るというフリをさせていただいて(笑)、英語でもちょっとお話させていただきたいと思います。

(以下英語)

ここにも英語圏の国々からいらっしゃっている方々がいるでしょうけれども、そのような方々からするならば、私の英語がかなりのブロークンであるということはすぐにお分かりになるでしょう。私の英語は本当にたいしたことはなく、私がこのように英語で話しをすると「本当は英語が上手なのだ」と思うかも知れませんが、そんな大したことはないのです。しかしながら、私のこのようなブロークンな英語でも、大変役に立っています。なぜかといいますと、世界各国を訪問する際に、その土地の方々と直接コンタクト、お話が出来るからです。私たちは全く同じひとりの人間です。様々な感情を持ち、精神面においても、肉体面においても、全く同じであるわけです。しかも、日本の方々は釈尊の教えに従っている仏教者なのですから、全く私と同じであると思います。

そこで、私自身の体験から少し話させていただきます。

私たちは、チベットという自分の国を失って以来、たくさんの困難な状況に直面してきました。しかしながら、私たちは、そのような困難な状況の中において、自分自身の精神というものをますます高めてくることが出来たのではないかと思います。そのような困難な時代を過ごす中で、自分の内なる心の力というものを、より強く高めることが出来てきたのではないかと思うのです。ですから、(被災された)皆さま方は、非常に困難な状況に直面しておられますが、そのような悲劇に打ち負かされることなく、現実の状況を正しく理解するということによって、自分自身の状況への対処の仕方をより強めていってほしいのです。それによって、皆さま方の心の内なる力というものをますます高めていくことが出来ると思います。日本の皆さまは第二次世界大戦で非常に多くの損害を受け、国土も多く破壊されました。さらに長崎と広島において原爆が落とされてしまったということから、たくさんの尊い命が失われてしまいました。しかしながら、日本の兄弟姉妹の皆さま方は、そんな悲しい状況でもけっして落胆することなく、立派に立ち上った民族であります。焼け野原の中から立ち上ったという過去の実績があるのです。ですから、今回もぜひ皆さま方は自信を失うということなく、前向きの姿勢で進んでいって頂きたい。私はそう思っています。


以下続く・・・