なずな 堀江敏幸

なずな

なずな



あらすじは以下の通り。



生後2ヶ月の女の子と過ごすイクメン小説!
「世界の中心は、いま、《美津保》のベビーカーで眠るなずなの中にある」──ひょんなことから授かった生後2ヶ月の「なずな」。かけがえのない人々と、二度と戻らない日々を描く待望の長編小説。


「ラジオで國分先生が紹介していたこと」「(これは育児小説だが)自分も育児中であること」「芥川賞の新選考委員になったこの著者の小説を未読だったので読みたいと思っていたこと」の三点の理由で読んでみた。


で、感想:この小説は傑作というかマスターピース、著者は達人。
(ただし、純文学好き限定かも…。)


この話にはストーリーに起伏が無く、事件も起こらず、ミステリーも無く、人も死なず、エロも無く・・・それなのに読ませてしまう。ちびちび、じっくり読んで脳が癒される感じだった。(長嶋有に近いかな・・・)


自分も「男の育児」に惹かれて手に取ったわけだし、そういうアピールの仕方がされているようだけど、この本は、育児エッセイとか、育児モノでは全くなくて、人間の人生・生活・人との繋がりそのものを描いている。赤ん坊は「マクガフィン」と言っても良いと思う。


堀江さんの他の本も読んでいきたいと思う。