舟を編む/三浦しをん


舟を編む

舟を編む


2012年、本屋大賞受賞作。


本屋大賞を獲ったの小説は大体面白いので、読むようにしている。(というか、義母が必ず買って回してくれる、というありがたい環境)


これは、辞書を編纂する人々のお話で、キャラクターや話の運びがややマンガチックだと感じたが、それは手練れの著者の計算づくなのだろう。

言葉への情熱、良質な仕事への情熱、を描いて良いお話でした。(昔、出版社のお仕事をしたことがあって、そのことを思い出すという懐かしさもあった)


以下余談ながら、この作品が本屋大賞というのは、今年の映画のアカデミー賞を思い出させる、という話を少しばかり。


すなわち

本屋大賞というのは書店業界の人が選ぶ賞であって、それが「言葉」を賞賛する小説(言わば同業界を描いた小説)を賞に選んだ。


映画のアカデミー賞も、映画業界の人が選ぶ賞であって、今年の作品賞・監督賞「アーティスト」は映画についての映画だった。(ちなみに、次点の「ヒューゴの不思議な発明」も映画賛歌)


業界人が自分の業界を描いた作品に賞をあげてしまう、というのが2012年のトレンドなのだろうか、と思った。




さらに余談ながら、作家による「言葉」についての小説で言えば、僕が大好きなのは、奥田英朗空中ブランコ」所収の女流作家という作品。

この作品も「言葉」について語っていて、とても元気が出るので時々再読する。