追跡!世界キティ旋風のナゾ

土曜日のNHKスペシャル面白かった。(5月17日の深夜に再放送があるそうです)

http://www.nhk.or.jp/special/detail/2012/0512/index.html

製造業に替わる『新・ニッポンブランド』として期待される日本のコンテンツビジネス。しかし、ゲームやファッションなど「文化」は注目されても「商売」には結びつかず、コンテンツ産業の海外輸出額は、国内市場の5%にとどまっている。
そんな中で、世界を相手に躍進を続けているのが、キャラクター・ブランド「ハローキティ」。社会主義国家やイスラム国家、軍事政権下の国まで含め、創業からわずか一代で進出した国と地域は「109」。ライセンスによるビジネスで、営業利益150億円を稼ぎ出している。その成功の秘けつは、戦後日本の消費行動が生んだキャラクターならではの「自由さ」を売りにしたことだった。
さまざまな世界の「壁」に苦しみながら、挑戦を続ける日本コンテンツ産業。「ハローキティ」をはじめ、さまざまな企業の苦闘の様子を追い、『新・ニッポンブランド』が世界で生き残っていくために必要なモノは何かを探っていく。


番組は、平たく言うと…

キティちゃんはミラノに外国人だけのオフィスを作って、そこに一定の範囲内で権限委譲をした。それにより、各国・各文化の嗜好にあったカスタマイズが積極的に行われ、商品バリエーションと販路を拡大。ライセンス生産だから在庫も無くてビジネスとしては大成功。対してディズニーやスヌーピーは統制が強過ぎて「拡がり」が無い。日本のメーカーも統制に拘りすぎずに、もっと自由にさせたら?


というような論調だったように思う。


これに対して、個人的には二つの点で注意が必要だと思った。


一つは、「統制と自由度」は極めて組織論的なアートの領域に属する問題で、言うは易く行うは難いこと。これを字面の響きの良さだけで真似しようとしてもうまく行かないだろうということ。この番組を見た偉い人が「うちも真似しようぜ」という姿が脳裏に浮かんだ・・・。


もう一つは、長期的に見た場合に、ディズニー的なやり方を単純に非難すべきではない、ということ。キャラクターが氾濫するということは、一歩間違うとブランド価値の希薄化に繋がる。たとえば、、、日本の田舎のおじさんがナイキのキャップを被るようになった頃以降、ナイキのブランドは変質した。当然、キティは同じ道をたどらないように、細心の注意は払っているとは思うが。5年後、10年後も見据えないといけない。




二つほど個人的に感じたことを書かせてもらったが、番組としてはとても勉強になった。


特にキティちゃんのチーフデザイナー(3代目)の日本女性、凄いと思った。「赤」→「ピンク化」の決断や、輪郭をぼかす、などビジネス野郎には一見微細にみえる「デザインの力」を痛感した。