言葉力が人を動かす―結果を出すリーダーの見方・考え方・話し方/坂根正弘



コマツの坂根会長といえば、今一番、発言に説得力のある経営者のおひとり。これまで、断片的に記事やインタビューなどを読んできたが、初めて本を読んだ。以下本書で印象に残ったところ。大意のまとめ。


・改革にあたっては全体最適を貫く


・自分に腹落ちした言葉でしか話さない。世の中で流通している言葉をそのまま使わない。自分で納得できる言葉にアレンジして使う。


・(社長として)色々な資料を参考にしたり、部下にも分析をさせるが、最後は、自分の言葉で、自分が理解・吸収したことしか話さない。他の人が作った原稿をそのまま読む、ということは自分はできない。


・「端的な一点の事実」を挙げて話を突きさす(本書では、少子化、という通説に疑問を持ち、コマツ社員の女性の子どもの数を調べたところ、東京本社0.5人、大阪・北関東地区は1.3〜1.4人、石川は2.0人であることを明らかにした事例がある。


・低成長期こそトップダウンは絶対に必要。ただし、日本歴史の長い大企業は、トップの号令一下、さっと動くような組織になっていない。欧米の組織はトップダウンに慣れているのだが。日本のように(組織の)下の方が自律的に動ける国では、トップが何をやれ、これをやれと言うよりも、情報を徹底的に開示して、下に動き方を考えてもらった方が早い。


とても、納得感のある一冊だった。部長以上向けに参考になると思われる。