別海から来た女――木嶋佳苗 悪魔祓いの百日裁判/佐野眞一


別海から来た女――木嶋佳苗 悪魔祓いの百日裁判

別海から来た女――木嶋佳苗 悪魔祓いの百日裁判


ノンフィクション読書の醍醐味を味わえた一冊。


本書の良い点第一。

なんといっても「事実」の恐ろしさと滑稽さ。犯罪そのものは非常に恐ろしいのだが、現代日本社会の諸相が凝縮されたような強烈な事実関係は、読むだけも価値がある。



本書の良い点第二。

大御所ルポライター佐野眞一*1の、情念と独断がにじみ出た文章が時々顔を出すところ。この「味わい」がたまらない。


この二点がブレンドされて、妙に文学的な香りのする一冊となっている。



実は、木嶋佳苗が住んでいた板橋区徳丸には僕も住んでいたことがあるし、殺されてしまった被害者の流山の家と自分の実家は割と近い(今でも、車で良くそばを通る)。なんだか奇なる縁である。


改めて、これはとんでもない事件である。この事件を扱った別の著者、北原みのり氏の著作も読んでみようか。

*1:実は僕は氏の主要な著作は殆ど読んでます