世界の経営学者はいま何を考えているのか?/入山章栄

世界の経営学者はいま何を考えているのか――知られざるビジネスの知のフロンティア

世界の経営学者はいま何を考えているのか――知られざるビジネスの知のフロンティア


アメリカを中心とした世界の「経営学」の研究スタイル、状況が経営学の中のサブ分野横断的に、俯瞰的に分かる本。今までこういう本は無かったと思う。


少しオタク的にいうと日本の経営学を対象としたこういう本(というかムック)は昔あった。朝日新聞かどこかが出していた「経営学がわかる」というヤツで、当時駆け出しコンサルタントだった自分はそのムックを割と熱心に読んだものだったが、今のような日本の地位も衰退しグローバル化が叫ばれる時代にはまさに本書のような知識がいよいよ必要なのだと思う。本書が実務家に即、実益のあるタイプの本とは思わないが「経営学」について何か話すような立場にある方には必読の一冊ではないかと思う。


本書の素晴らしい点のもう一つは、記述のスタンス。しっかりとした情報に基づきつつ、不偏不党的で、そして対象(経営学)への愛を感じる記述。これがとても良かった。


さて、私も一応「経営学修士」という肩書を持つ立場で、経営学についてはそれなりに勉強した。


本書でも論じられている「経営学って社会科学なのか?」という問いについては、日本の一流経営学者もかなり深く考えてきたことを知っている。(というか、この点を深く思考するのが、一流の経営学者の必要条件だと思う)本書で紹介されたアメリカで主流となっている「理論→統計分析」という研究スタイルについて、これらの先生は色々反論したいことはあるだろうな〜と思う。どうやら実態としては完全にガラパゴスらしい日本だが…。以下にそんな考察(経営学と社会科学性について)が掲載された書籍を少し紹介しておきたい。(どれもうちの本棚のお宝として並んでいる。専門家向けです)


創造的論文の書き方

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ビジネス・インサイト―創造の知とは何か (岩波新書)

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行為の経営学―経営学における意図せざる結果の探究

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他にもあると思います。