国の死に方/片山杜秀


国の死に方 (新潮新書)

国の死に方 (新潮新書)


同じ著者の「未完のファシズム」が面白かったし、新聞雑誌でオピニオンを拝読しても、この方の論はしっくりくるところが多いので軽く読めそうな新書を手にとった。

本書は、予想に反して、組織論的な内容が多くてそこが非常に面白かった。「日本において、権力は下に流れる」「ヒトラーファシズムで国を掌握できた理由」「スターリニズムの起源・特徴・帰結」など「組織機構論」的な分析の部分は経営学的ですらあった。しかし、著者の真骨頂(だと僕が思っている)である、芸術を含む歴史知識に裏打ちされた思索と文章の巧みさ、はもちろん本書でも健在で、リズム良く読むことができた。

ラスト三章あたり、映画「ゴジラ」の持つ意味、そこに既に如実に現れている戦後日本の限界、からの、最後の一文までの流れに痺れた。