7大企業を動かす宗教哲学 名経営者、戦略の淵/島田裕巳



経営学も好きだし、宗教(学)も好きな私としては、島田先生がこの本を書いていると知った時から是非読みたいと思っていた。


もう少し「人間(日本人)にとって働くとは?何か」という点を掘り下げてくれても面白かったと思うが、随所に新鮮な驚きを感じる箇所もあって面白かった。


松下幸之助天理教の件は有名ですが)が池田大作を尊敬していた節があり対談などもしていた、という事実や、FRの柳井正村上春樹が同い年でキャリアに共通点がある、という見方、サントリーの社歴とそこにある「報国」「神道」的な思想の香り、など、ビジネス界のマスコミ・論壇の切り口では出て来ないような話が勉強になった。


企業の社名変更と、通過儀礼元服に伴う名前の変更)の共通点を指摘する、などもこの先生ならではの見方だろう。


トヨタについては、ある程度の分析をした上で、その本質は極めて土着的(だから豊田という土地から本社が離れられない)であり、村的な宗教であると結論づけている。「トヨタに入ることはトヨタ教に入信することと同じ」と断言しているのだ。(これは別に批判でもなんでもない)数々の教団を分析してきた宗教学者の島田先生が言うのだから、耳を傾けざるを得ない。