日本の男を喰い尽くすタガメ女の正体 深尾葉子



先日、日経ビジネスオンラインでとても面白い著者インタビューを読んだので、思わず購入。
(本書の内容はだいたい以下のインタビューで言い尽くされている)

http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20130508/247724/


基本的に、こういう現象が存在し、これが日本社会の一つの大きな特徴になっていることには同意できる。そして、これが大問題なのかどうかは別として、あまり良い現象だとは思わない。*1


自分は大企業の人事管理に携わっている。そこに関連させて言えば、本書でいうところのカエル男たちが多数いる大企業で、女性活用が進まないのは、「家庭で女性に抑圧されているのに、なんで会社でまで平等に扱われなきゃいけないの?」という男性側の意識があるようにも思う。そういう意味で、この「タガメ女とカエル男」構造は企業にも影響を及ぼしていると言えるのではないか。


少し違和感というか、自分の予想と違った点もある。著者がこうした構造の原因を「日本がアメリカに植民地化され、奥様は魔女的な世界、価値観、アメリカの物質社会に憧れるあまりに陥ってしまった状態」である、と指摘しているところだ。意外と感じた理由は2つある。まず、普通、「男女の平等化」を訴える論者はアメリカの男女平等進展ぶりを背景に日本を批判するような印象があるので(あくまで印象です)、アンチアメリカかつ男女の平等化を訴える論というのは珍しい。加えて、そもそも、「今のタガメ女構造に、アメリカ的価値観に日本が染まったこととはあまり関係無いんじゃないか」とも思った。


ともあれ、誰かが言いそうで言わなかった一つの鋭い問題提起であり、面白くあっという間に読んでしまった。男性著者が最初にこれを大々的に指摘したらもっと面白かったかも。無理か。

*1:私も「多少は」本書の言うカエル男なのかもしれないが、それは嬉しくないことだ