きっと、うまくいく/ラージクマール・ヒラーニ監督(2009・インド)



今、日本で公開中のインド映画。


サブカル有識者方面から聞こえてくる評判が凄く高かったので、事前のハードルが上がってしまったのだが、あまり事前情報を入れずに行って、まずまずその期待通り、という作品だった。

実は自分の今年の一つの目標に「ハリウッド傾斜からの脱却」というのがある。多極化する現実世界に従い、自分も見る映画を多極化していかなければと思っていたので、インド映画を見れて良かった。



形式的に「ミュージカルっぽいところがある」のはインド映画のお約束だが、もう少し深いレベルで考えてもハリウッドや先進国とは違うインドならではの現実・思想がかいま見えた気がした。特に、父子関係の描き方なんかは、西洋の映画とは少し違うな、と感じた。キリスト教世界観の色濃く出る西洋映画だと、父子関係というのは、もう少し厳しく抜き差しならないものになると思う。しかし、この映画はその辺がなんだかんだ言って牧歌的でアジア的な気はした。

かなり練られいてるシナリオは、起伏も推進力もあるし伏線も回収するしで、ハイレベルなのだが、最後の最後の味付けは、やっぱり新興国的だと思った。先進国の(カギカッコつきの)「洗練」された作品だったら、やっぱり主人公は「行方不明で野垂れ死」という感じ*1になるだろうし…。

先進国の洗練された作品は好きなのでそういうものを中心に見つつ、時にこういう作品をスパイス的に混ぜていけると良いなと思う。

*1:いわゆるアメリカン・ニュー・シネマだとそうなる。なんか、自分はそういう作品が好きでよく見てきた気がする。