大君の通貨/佐藤雅美  

大君の通貨―幕末「円ドル」戦争 (文春文庫)

大君の通貨―幕末「円ドル」戦争 (文春文庫)


徳川幕府の崩壊は、薩長の武力のみにあらず、もう一つの大きな要因は通貨の流出にあった。ペリーの来航以来日本は、初めて世界経済の荒波に見舞われた。幕府の経済的な無知につけ込んで、一儲けを企む米外交官ハリス、駐日英国代表オールコックたちの姿を赤裸々に描く新田次郎文学賞受賞の傑作歴史経済小説。解説・神崎倫一

上にあるように評価の高い本なので読もうとしたが、テーマも難解なうえに、小説としてエンタメ性に優れているわけでもないので、長距離移動のお伴じゃなければ読了できなかっただろう。ただ、我慢して読み進めた上での、最後の2章は非常に面白かった。長い小説ではないので我慢できたのが幸い。


ただ、この小説のテーマである開国時の通貨為替問題は、著者が指摘するようにとても大きな問題で、司馬遼太郎的な歴史の見方よりもよほど実質的なのだと思った。


それにしても2013年の今、自国通貨の価値を下げようと主張する日本人が居る。大丈夫なのだろうか。