Think Simple―アップルを生みだす熱狂的哲学/ケン・シーガル, 林信行, 高橋則明


Think Simple―アップルを生みだす熱狂的哲学

Think Simple―アップルを生みだす熱狂的哲学

複雑に考えて仕事する自分を、誇りに思っていないか。

「シンプル」は現代ビジネスにおける最強の武器だ
スティーブ・ジョブズのもとでアップルの「Think Different」キャンペーンにたずさわり、iMacを命名した伝説のクリエイティブ・ディレクターが初めて明かす、ビジネスとクリエイティブにおける「シンプル」という哲学。
いまや世界一のテクノロジー企業となったアップル躍進の秘密とは?もちろん誰もが知っている事実がある。アップルには偉大なるビジョナリーがいた。デザインに優れ、エンジニアリングにも、製造も小売もマーケティングもコミュニケーションもすべてが優れていた。だが、それらすべてを超越した何かが、真にアップルをアップルたらしめたのだ。
――アップルは「シンプル」の熱狂的信者なのだ

本書は著者にしか知りえないさまざまなアップルでのエピソードを題材としながら、〈シンプル〉という哲学を、核となる10の要素に落としこんで紹介する。マーケティングの考え方、イノベーションをいかに生みだすのか、組織の生産性をどう高めるのか、アイデアを実現させる方法、意思決定の仕方、社内や顧問とのコミュニケーションのとりかたまで ―あなたも〈シンプル〉という武器を手にすることで、この複雑な世界においてクリエイティブな力を発揮することができるはずだ。

アップル本、ジョブズ本の中での最強の一冊との評価があったので読んでみた。著者は、アップルの社員ではなくて、広告代理店の立場からジョブズに重用された人*1。これにより、インテルやデルといった他の企業とアップルの比較という視点が本書に持ち込まれており、なぜ、アップルは優れていたのか、という解説に厚みが出ている。

組織論的には、「優れた独裁者が上手く機能すると、組織はこうなるよ」ということをアップルを題材に描き出していると言えよう。官僚的な成熟企業や、優れていない独裁者が支配する企業の人が読むと、気がめいる部分があるかもしれないが、それでも、勉強になるところは多いと思う。企業という枠を離れて、個人の生き方としても「どうしたらもっとシンプル生きられるか」を考えさせてくれる本でもある。

*1:アメリカの佐藤可士和みたいな感じ?