月刊文藝春秋3月号/芥川賞150回記念特集


芥川賞が150回記念ということで、選考の内幕、回顧的な記事が沢山ある。10年以上前から、作品と同時に選評を愛するようになっている私は、仕事では人事コンサルタントとして人事評価制度にも関わっている。文学賞の選考と人事評価を同一に捉えてはいけないかもしれないが、どこか重なるところがあるような気もして、とにかく大変興味深い。

石原慎太郎翁は、政治的にも、選評の書きぶりも全く自分とは合わない(率直に言って私はかなりの反石原である)のだが、彼の回顧インタビューは面白いし、印象に残った受賞作として挙げていた作品は、私のそれとかなり重なっていて、なんとも不思議であった。他にも池澤夏樹氏のインタビューや、宮本輝村上龍*1の対談なども非常に興味深いものであった。

選者にも個性があることを改めて当事者の証言で再確認した、と同時に、今回一連の特集を読んで感じたのは「芥川賞は(少なくとも最終選考の現場*2では)フェアに選考されているらしい」ということである。意外なような気もするが、この特集で複数の人が語っているので、ウソはないようにも感じたのであった。


受賞作「穴」や村上春樹の新作短編も掲載されており、読むところの多い一冊。


あと、これが重要なのだが、巻頭随筆の「芥川賞直木賞150回記念随筆」の町田康に爆笑した。

*1:今回は珍しく素直な選評を書いていたな…

*2:池澤夏樹が、酒をのみながらやるのはやめたほうが良い、と提言してた笑