日本の景気は賃金が決める/吉本佳生


日本の景気は賃金が決める (講談社現代新書)

日本の景気は賃金が決める (講談社現代新書)


本書は、『「賃金」が上がること、こそが景気回復・経済成長の道であり、特に、現在低賃金に置かれている、女性・小規模企業・非正規・短時間の賃金を上げることが、消費の活性化という観点からきわめて重要である』と指摘。日本ほど、女・小・非・短の賃金が低く据え置かれている国は、他には無いそうである。それは既得権者(男性・大企業・正社員・長時間労働)が強い、ということの裏返しでもある。これをお読みの人はどちらのセグメントだろうか。

図表も多く、説明力も高く、読んで良かった。

僕は、経済学の専門的な訓練を受けていないので、経済分析としての妥当性は分からないが、「賃金」こそが、日本のデフレ経済の最大の要因である、とは吉川洋氏の「デフレーション」でも指摘されていたことだ。

自分の人事コンサルタントという仕事は、本書で指摘している「合成の誤謬」に力を貸しているだけなのだろうか、と、ディープな事を考えてしまった。ここに安易に書ける内容ではないので割愛。