日本料理の贅沢/神田裕行

日本料理の贅沢 (講談社現代新書)

日本料理の贅沢 (講談社現代新書)


ミシュラン三ツ星、元麻布かんだのオーナーシェフ、神田さんの語る「日本料理」。決して、金をかけた単なる贅沢、ということではなくて、手間暇をかけて日本の自然を愛するという贅沢。

具体的なハウツーもあり、ある程度外食をしつつ、自分でも手を動かして料理を作れる人(注:はばかりながら、私はそうです)にとっては堪らなく面白い本だろう。少しメモしておく。



・かんだの一日の客数は18名。鯛など、刺身のお造りにする魚のサイズから一回に取れる量によって規定されている。

・出汁は軟水。鰹節を煮出し過ぎない。雑味がでるのと、沢山の塩を入れないとバランスが悪くなる。たっぷりの鰹節をさっと使うのがコツであり、「少しの量で濃くとる」というのは間違い。

・一番だし、水700に出汁昆布4gを入れて二時間おく。昆布をとって少し沸騰。火を止めて、鰹節を26グラム。30秒たったら漉す。

・沢山の種類の料理を飽きないように供するには「補酸」。酸味をかける。すだちをしぼるなど、酸味を加える。

・魚だれ。酒270。みりん270。まず煮切り。濃い口醤油200、たまり醤油200、白糖180を加えて合わせる。魚は先に焼いて炭化させてから、たれをしみ込ませるのがコツ。

・大根からは灰汁が大量にでる。だから米のとぎ汁で湯がく。

・新米のピークにご飯としてのうまさを味合うなら、蒸らしすぎない、煮えばなの「若蒸し」状態がいい。

・卵とじを作るとき、先に溶かない。白身のみが出汁を吸い、早く凝固する。形のまま入れて、白身が固まりだしてから黄身をつぶす。黄身は半熟、余熱で固まるくらいでいい。



いろいろ家メシを作る際に取り入れてみたい。


著者と同じく、日本人で良かった、と思います。