聖書考古学 遺跡が語る史実/長谷川修一

聖書考古学 - 遺跡が語る史実 (中公新書)

聖書考古学 - 遺跡が語る史実 (中公新書)

信仰は持たないがキリスト教に興味があり、かつ、科学的であることにも興味のある自分にとっては*1大層面白い本だった。

紀元前の古代、ユダヤ民族は小さな民族として滅亡寸前の苦難を味わった。しかし、ユダヤ教という、特異で排他的とも言える教義を持ったからこそ、その後の長き離散に耐え、古代に隆盛した他の民族が消滅した中でもユダヤ人は生き延びた、と言われる。ここまでは本書を読む前から橋爪大三郎先生から学んでいた。本書では、イスラエルに長期留学していた著者が「イスラエルという物理的国家を建設して以降教義に厳格に従う人が減り希薄化が進んでいる」と指摘しており、これが大変興味深かった。

*1:初心者向けとは思えない。ある程度聖書を読んだことの無い人や世界史の基礎知識が無い人には面白みを感じるのは結構難しいと思う。