ローン・サバイバー/ピーター・バーグ監督
2005年6月、国際テロ組織アル・カイーダの重要工作員の暗殺を狙ったレッド・ウィング作戦のため、アメリカ海軍特殊部隊ネイビー・シールズはアフガニスタンに赴く。4人の隊員が山岳地帯で偵察をしていた際、ある判断が200人超のタリバン兵から攻撃される状況を呼んでしまう。絶体絶命の状況下、崖から転がり落ち全身負傷しながら自分と仲間を信じて行動する4人。生死を分ける選択に次々と迫られる過酷な場に立ち向かっていくが…
友人からの「お前が好きそうだぞ」(だけで、理由は示されず)との推薦情報あり、見に行って来た。
予備知識が殆どない状態で見に行ったので、当初は「ランボー 怒りのアフガン」みたいに、アメリカ人が超人的な活躍をする話かと思いきや、まるで違った。*1
リアリズムの描写で、痛い、苦しい、不条理、の連続である。「戦場の現実(もちろん、これだって映画ですが)とはこういうものだ」ということを静々と突きつけてくるタイプの作品。
先進国の都会で暮らしていればこの世界は一見平和に成立しているように見える。しかし、世界の「限界的な際(きわ)」、たとえば本作のようなアフガンの山中、では、世界の「矛盾」が剥き出しになる。こういう「とんでもなく厳しく荒々しい現実」を描いた作品を見るという事が、映画を見る楽しみ、というか「意義」の一つだと思う。しかしながら、この手の映画は日本では興行成績が著しく悪い。やがてこういう映画が日本で公開されなくなってしまうのではないか(それは日本にとっては損失だと思う)、と陰ながら心配している。
映画の最後に、実際に亡くなった隊員の写真と享年が示される。単に示されるだけなのだが、この2時間の映画を見たあたとでは、「戦争とは、20になったばかりの若者達がこういうバカバカしいというか残酷というか無茶苦茶なことをする(させられる)ものだよ、お前(観客)らそのことわかってるか?」と問いかけてきたような気がした。