『思い出のマーニー』/米林宏昌監督(2014年)




僕はスタジオジブリに特段の強い思い入れは無い。最近読んだ鈴木敏夫Pの新書「仕事道楽」が面白かったので、ジブリの最後を見届けようか、、、くらいの軽い気持ちで劇場へ足を運んだ。

こんな経緯だったので期待値ハードルの低さが良かったのか、それとも、一人で見に行って周りも空いていて大画面に没頭できたのが良かったのか、序盤から主人公の心情が自分の心に素直に入って来て、予想外の感動を得てしまった。それにしても絵が奇麗。この絵のクオリティは世界の中でも日本だけが出来る部類だと思う。「アナ雪が、ディズニーがなんぼのもんじゃい!」と愛国心まで刺激されるレベル。

そもそもが、僕はこういう屈折した主人公(中二病)のものとか、祖父母の愛的なものに個人的に弱い。あとは、自分の中に親目線が産まれて来ているのも感動した要因かもしれない。「子どもがフラジャイルな思春期を抜けて大人になる(本作のテーマ)て、ホント大変なんだよね」というところに感じ入ってしまった。


ストーリーについては、個人的には「主人公が一夏の経験で成長する」という話だけで十分だった派、なので、最後の最後の理屈っぽい展開は不要かなと思った。



宮崎駿高畑勲引退以降のジブリがどうなるのかが取りざたされており、一説には制作から手を引くともあるが、これだけのものが作れるのだから、活動を継続して欲しいと思う。天才二人は作品だけでなく、後続も産み出していた。

と、かなり絶賛したが、これは乗れる人乗れない人が分かれるタイプの作品ではあると思う。でも、宮崎駿ブランドの過去のイメージに依存し、本作を見ずにジブリを語っている人がいるならば、「これを見てから言ってくれ」と言いたい。