異端児達の決断 日立製作所 川村改革の2000日/小板橋太郎


異端児たちの決断 日立製作所 川村改革の2000日

異端児たちの決断 日立製作所 川村改革の2000日


会社の同僚が読んでいたので借りてみた。


企業のターンアラウンド実録ものは読んでいて楽しい。ある意味ではオーソドックスに、選択と集中部分最適から全体最適へ、という施策が断行された、という事例。


面白いのは、それを突如表舞台に登場した69歳のトップが主導した、ということ。私も当時この登板ニュースを聞いたときは、「若手は居ないのか・・」と思ったものだ。しかし、日立グループは、今まで年功序列でやり過ぎてきたから、年寄りが出てきてトップダウンをすれば、皆言う事を聞かざるをえない、ということらしく、同社の体質では合理的な決断だったということだ。組織とは教科書通りには行かないものである。そして、それを主導したベテラン経営幹部達は皆、(出世の途上で小さく固まっているのではなく、一度は死んだ身、として)悟りを開いていたという事が良かったのでは、と本書筆者は分析している。だとすれば、日本の普通のミドルがいかに「縮こまっているか(縮こまらされているか)」ということである。

本書は、日経ビジネスの記事やWEB記事が土台になった本なので、学術的な色彩は無いが、パナソニックの中村改革を扱った本と比較してみたら面白いだろうと思う。


あと、この本は何が素晴らしいって、冒頭の飛行機でのエピソードである。まるで映画のようだ。そこだけでも立ち読みする価値がある。