かぐや姫の物語/高畑勲(2013)
結局、ビジネス的には赤字に終わってしまった模様。しかし、グローバル化するコンテンツ産業の中で「日本はこうなんだよ。こういう文化を持っているんだよ」という名刺代わりの一作になるような気がする。グローバルな中では「他の国には無いもの」に価値があると思うが、この迎合なき作品がまさにそれではないか。
個人的には、日本文化の最大のキーワードは「無常感」だと思っているのだが、まさにその核に触れていると感じた。
とかく絵作りが評判な作品だが、個人的には演出が素晴らしく不思議な緊張感のある進み方だったのが印象的だった。誰もが知る有名な話で、筋もシンプルであるだけに、かえって深読みしたがる人が多いと思うのだけど、実際にそれに耐えうるレベルの知性で作られた作品*3だと思った。反対に、「味わおう」とか「楽しもう」という主体的な思いを持たずに見た人まで巻き込めるような作品ではない。そういう意味で評価が真っ二つに別れるのだと思う。