バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)/アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督

今年5本目。2015年アカデミー賞の主要部門制覇作「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」by アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督。
 
想定していた以上に作品として挑戦的・前衛的な造りだった。いろんな賞を受賞したという事実からは逆説的に感じられるが、大衆向けではなくて間口が狭い。映画ファン歴7年の僕がその間口に入れたかどうか・・ギリギリかな、というくらい。
 
「ほぼ全編ワンカットに見える撮影方法が斬新」と、色んなところで紹介されている本作だが、それ以上に何重にも工夫がある作品だ。構成は最低でも三重のメタ構造になっているし、そういうのが好きな人は楽しめると思う。
 
偶然見ていたNHKのニュースで監督が、「(見た人が)自分に重ね合わせて笑い飛ばしてくれたら嬉しい。人間っておかしくて悲しい生き物だからね」と言っていた。人間が「おかしくて悲しい生き物である」ということを表現するために、このような映画を企画・監督・脚本で撮ってしまうこの監督は、やっぱり監督賞に値すると言えるのかもしれない。マイケル・キートンへのアテ書きかと思ったら、監督のインタビューを読むと、最初は純粋に「中年男性のエゴ」を描きたいという構想から始まったそうである。
 
あと、助演のエドワード・ノートン、最高でした。
 
予告編の選曲が良すぎて、それは(当然)本編では使われていない。
 
 
 
 
おまけ:欧米のエンタメにまったく興味のない人にこの作品をなんと説明しようか、と考えていたら「暗く哲学的な三谷幸喜作みたいな作品」というキーワードが浮かんだ。