真相ーマイク・タイソン自伝

 

真相---マイク・タイソン自伝

真相---マイク・タイソン自伝

 

 

 
 
670ページの大作、完読。
 
これまで、僕はそこそこの数の自伝・伝記・評伝の類を読んできたと自負しているが、この本以上に衝撃的なものは無かったし、今後も読むことはないだろう。それほどに強烈なインパクトのある自伝だった。
 
一言でいうと、insane。
 
黒人ゲットーで10歳から銃撃戦まがいのことをしているのが普通だった男。何一つ教育らしい教育を受けずに破滅家庭で育った男が、ボクシングの才能に覚醒し、アメリカらしい勢いで大金をつかむも、金目当ての悪党が大量に寄ってたかって押し寄せ、本人もセックス・アルコール・麻薬中毒で乱痴気騒ぎ、、、というお話。(あるところで、タイソンは「リア獣」という書き込みをみたが、実際その通りだ・・)
 
Chapter4くらいまでの、ヘビー級世界チャンピオンを獲る過程の成り上がり物語は最高にワクワクする。そこから先は延々と続く破滅的生活で少し弛れるところもあるが、濃密な描写で読ませまくる。
 
悲劇と喜劇は紙一重というか、ほんとにタイソン死なくて良かったね、とひとまずは言える。ただし、この状況だとこれから先に何かあっても特に驚かない、それほどに破天荒というか破滅的な自伝だった。
 
なお、ライブ感のある語り口を巧みに日本語に翻訳家してくれていた翻訳家の方に感謝したい。とても読みやすい仕上がりだ。