「タレント」の時代 世界で勝ち続ける企業の人材戦略論/酒井崇男

 

 

正直に言って、仕事柄、「人事」本には食傷気味だ。学者のいうこともコンサルタントの言うことも、なんとなく想像出来てしまうところがある。(決して威張っているわけではなくて、キャリア的な必要性上、それだけの量を読んできてしまった、というだけ。)

 

しかし、この本は「尖(とが)って」いて、読んでいてとても面白かった。バランスの良い議論ではないし*1、不要に色んなところに喧嘩を売っていたりする*2部分は勿体ない気もする。しかし、著者個人の経験に由来すると思しき強烈な問題提起、そして借り物でない独自の仮説は読み応えがあった。

 

タイトルで「ああ、また、数多(あまた)ある人事本の一つか・・・」と思われて損をしてる気がしてならない。

 

この方、本書がデビュー作のようだが、これから知名度上がってくるかもしれないと思う。

 

個人的には著者の問題提起*3から以下の本を思い出した。

 

 ↓日本の組織は「外(マーケット)の情報」を軽視している。

大本営参謀の情報戦記―情報なき国家の悲劇 (文春文庫)

大本営参謀の情報戦記―情報なき国家の悲劇 (文春文庫)

 

 

 ↓強烈な主査(スティーブ・ジョブズ)のケース・スタディとして

ジョナサン・アイブ 偉大な製品を生み出すアップルの天才デザイナー

ジョナサン・アイブ 偉大な製品を生み出すアップルの天才デザイナー

 

 

*1:一部のいわゆるG型コンシューマ向け製品製造業に焦点を当てている

*2:野中批判、MBA批判て、やっぱり経営学系の人ってなかなかこうは書かないですよね

*3:問題提起の内容は、ネタバレになってしまうのでこのブログでは割愛します。