鄧小平/エズラ・F・ヴォーゲル、橋爪大三郎

 

 

トウ小平 (講談社現代新書)

トウ小平 (講談社現代新書)

 

 

 
20世紀の後半、中国は、新中国としてみごとに復活を果たした。その復活の道筋をつけた指導者は誰かと、後世の歴史家がふり返るとすれば、その立役者こそ、毛沢東ではなくて、鄧小平に他ならない。(ヴォーゲル博士)

エズラ・ヴォーゲル先生を橋爪先生がじっくりとインタビューしている。こんな面白気な本が出ていたとは先週まで知らず。(SNSで友人が推薦してくれていたので気づいた。便利な時代だ)
 
僕は、中国の現代史に前から興味を持って「毛沢東秘録」「鄧小平秘録」「チャイナ・ナイン」等々、コツコツと本を読んできたこともあり、本書は大変興味深く*1読むことができた。電車内で思わず下車駅を乗り過ごしそうになるほど没頭してしまった。特に前書きとプロローグが面白かったので一気に引き込まれてしまった。
 
本書は鄧小平の生涯を順に語る、という体裁でクロノジカルに書かれている。僕は、本書はどう「天安門事件」を評価するのかな、と思いながら読み進めたが、(西洋の一流の学者がこういう解釈をするのかぁ)という、なかなか興味深い(Controvertialであると思う)な内容だった。
 
あと、本書では、あまり強調されていないが重要だと思うことはは、鄧小平は「実務」もバリバリに処理能力が高かった(らしい)ということだろう。だからこそ、三回失脚したのに(請われて)復活、ということがあったのだと思う。
 
それにしても、ヴォーゲル先生は、日本と中国を研究するために、それぞれの言語を完全に(読み書き会話)習得してしまったとのこと。(本書のインタビューは日本語で実施されたとのこと)。超人のように思える。

*1:ただし、中国現代史の基礎的なことがあまり知らない人が読んで普通に楽しめるのかどうかは、分からない。基礎的なことはすでに知っている人向けのような気もする。