日本企業のグローバル人事戦略/山西均


日本企業のグローバル人事戦略

日本企業のグローバル人事戦略


専門家向けです。


著者は、野村ホールディングスでグループHR企画室長の任にあられる。

野村グループと言えば、リーマンを買収したこともあり、グローバルHRの世界でも独自の取り組みで有名だ。
自分としては読んで置かなければならない、と思った。


(参考:グローバル統一の人事制度を導入し、内外で一体運営)
http://www.kkc.or.jp/data/semisym/00000351-1.pdf




本書を読むと、こうした取り組みの背景にある理論的・思想的背景が良く分かる。逆に言うと、理論的・思想的にここまで深く考えているからこそ、あそこまでの取り組みに動けた、ということもあるのだろう。



そのあたりが表現された1章・2章・3章あたりが本書の胆だと思う。日本の人件費を負債としてBSに計上すべき、や、雇用を「納得のゲーム」にすべき、といった主張が展開される。


欲を言えば、では、実際にやってみてどうだったのか、ということを知りたいのがやはり人情である。



しかし…そこは「やってみた」ということすら書いていないガードの固さなので、残念。(お立場を考えれば当然ですが)



本文内で引用されている著述家が、小宮山宏塩野七生村上龍、ヴィドゲンシュタイン、などであるところが、個人的に自分も好きな、(というか常に影響を受けている)人々だったので、驚いた。