伝える極意/長井鞠子


伝える極意 (集英社新書)

伝える極意 (集英社新書)


著者は、同時通訳界のレジェンド?的存在。多くの政治家や高級官僚からご指名が入るという。

通訳の方が書いた本を読むことがほとんどないので、「業界裏話」的なところが面白い。中曽根総理の発言を「不沈空母」と訳した(注:この方ではない別の方)のは「意訳」だったのにその言葉が広まっていった、という話であるとか、石原慎太郎が突然「東京都が尖閣諸島を買います」と言った瞬間の同時通訳はどう考えたか、とか、大変なお仕事である。

あとは、通訳として50年以上世界を飛び回って来た著者が情けなく思うこととして「会議で眠るのは日本人だけ」ということ。これは外国人たちからも「不思議、ミステリー」扱いとされているというこぼれ話には、残念と言わざるを得ない。

著者がまとめた、しっかりと相手に伝える極意。

・「誰かに伝えたい」と思う内容を持っているか?

・それを伝える熱意があるか?

・話を相手にわかりやすくするための論理性・構成力があるか?

・どう話すか。