流/東山彰良

 

流

 

直近の直木賞受賞作。

 

選考会では「満票」だった、という。さらに、北方謙三先生や伊集院静先生といった、あまり人を褒める印象の無い(勝手な印象ですみません)人々が、激賞していた、というのをニュースで読んだので、買って読んでみた。

 

期待値が高まり過ぎたのか、序盤から中盤までは「読みづらいなぁ」という気持ちの方が先に出てしまった。終盤は面白かった。正直、大御所先生たちは、又吉の「火花」に対抗して「リップサービス」したのかなぁ、などと思った。

しかし、読後2日間くらいたったら、これは日本台湾中国の大きな歴史を背景としたなかなか壮大な作品だったよなぁ、という気持ちが湧いてきた。

 

本作は太平洋戦争時の台湾の歴史が背景になっている。「原爆」についてすら知らない日本人が少なく無い、とニュースで読んだ。「国民党と共産党が・・・」の背景知識を必要とするこの小説の読者獲得は大変だと思う。だからこそ、本作に賞を与える作家の先輩方は偉い。自分も微力ながら読んで応援して良かった。