劇団四季と浅利慶太

TXのカンブリア宮殿劇団四季代表の浅利慶太氏が出ていた回を見た。

昔、大学院に在籍していたとき経営戦略の授業で「劇団四季」のビジネスを題材にレポートを書いたことがある。そのときの元ネタは以下の本。印象に残ったのは徹底した四季の「垂直統合」によるビジネスモデル。

個人的に、ここ最近「垂直統合」と「水平統合」について色々思いをめぐらすことが多いのだが、この番組でも、劇団四季の経営を現在垂直統合で大成功中の「ユニクロ」になぞらえていた。両社は、確かに強力なリーダーが采配を振るうという点で共通している。ついでに言えば、シルク・ド・ソレイユも垂直統合で四季に似たタイプの経営なのではないか*1と思う。

以前、浅利慶太氏のインタビューでの発言で「舞台のエンタテイメントとしての価値は7〜8割が脚本で決まる」という言葉を読んだことがあるが、この言葉は忘れられない。ここまでKSFを断言するか!という驚きを感じたからだ。(だから、四季は役者には安定的給与を与える代償として匿名性を強いる。スターを作らずに、経営が全てをコントロールする。)

今回の番組でも印象に残る発言があった。役者のオーディションについて「部屋に入ってきて受験番号と名前を言うのを聞いただけで、受験者の表現面での才能の殆どが分かる。(発声や筋肉の使い方を見て一瞬で見抜くそうだ)ただし、“根性”だけはどうしても分からない(一回の面接では見抜けない)」と言う。浅利慶太氏ほどのキャリアを持つ人が言う言葉だからこそ、非常に重たい。採用担当をした事のある人には感じるところがあるだろう。

ちなみに、カンブリア宮殿のエンディングが「村上龍が原稿を書いて、それをナレーターが朗読する」というスタイルになったのは、とても良いリニュアールだと思う。前は村上龍小池栄子と色々話す体裁だったけれども、村上龍はやはり文章の人だと思う。

劇団四季と浅利慶太 (文春新書)

劇団四季と浅利慶太 (文春新書)

*1:日経ビジネスの記事かなにかで読んだ