とつぜん会社が英語になったら・・・/宮永國子



 タイトルがお手軽なビジネス書風だが、内容は社会人類学博士が言語学社会学の理論、それに国際機関でのご自身の経験なども駆使して「英語」と「日本人」について骨太に論じている。一方で、文法的な解説も結構あったりして、この本の「立ち位置」が良くわからない部分もあった。本書のタイトルが気に入って本書を買ったのなら*1、ちょっと面くらってしまうだろう。

 というか、おそらくこの本は読み手を選ぶ。留学や外資系企業などで既に実地のコミュニケーションに相当苦労しているが理論的背景を持っていない人、こういう人には「なるほど」の連続、となるのではないか、と思う。(自分はそういう立場ではないので、あくまで推測)

 本書終盤の、「TOIEC」は被支配層としてのスキルを測るためのテストに過ぎない、本当の知の力を操る能力は「TOEFL」の方が測定できる。日本人にはぜひ前者で満足せず、後者の世界に飛び込んで欲しい、というメッセージに著者の愛国心を感じた。

*1:私は人の推薦で読んだので問題無しだったが