日本語作文術/野内良三

日本語作文術 (中公新書)

日本語作文術 (中公新書)


コンサルティングや、大企業での企画、といった業務に従事している場合には、「論理的日本語力」が、仕事の成果、ひいては年収までを大きく左右する。

だから、この業界に入って間もない若手の方に「何を読んだら良いですか」と聞かれた場合には、「文章術の本。誰が著者のものでもいいから」と答えることにしている。マイケル・ポーターとか読むくらいなら、まずは文章術の本を読んで文章を磨いて欲しい。

日本語文章術の本は、非常に沢山あるので、どれがオススメという指定まではしないのだけれど、この「日本語作文術」は実用文書に特化した内容で、ロジカルであり、推薦したい一冊だ。

本書の言うところ、(以下は僕の適当な抜粋要約。少しわかりにくいものもあるかもしれないが、興味のある人は原著にあたって下さい。)

  • 一つの文章を短くしろ。
  • 定型表現をうまく真似しろ。
  • 文節は長い方から頭に出せ。
  • 「は」「が」などによる接続は(読み手に意味が伝わりづらいことがあるので)注意しろ。
  • 日本語の「高い発話環境依存性」という特徴を理解して注意しろ。
  • 概念的な文章を書く際は、無生物主語を駆使した名詞中心の構文を心がけよ。
  • 「・・・と思う」「・・・と考える」という表現の連発はおかしい。そもそも、文章を書くという行為そのものが、自分の思いや考えの表明なのだから、いちいちこれをつけなくても良い。

は全て、実務的に非常に有益なアドバイスだと思う。



昔、僕が就職活動していたころ、バーバラ・ミントという人の書いた「考える技術・書く技術」という本が流行った。確かにロジックの大きな構造を学ぶには外国人の書いた本も良い。しかし、我々日本人が日本語で思考している以上、その論理は日本語の特徴に予め概ね規定されてしまっている。だからこそ、日本語そのものを分析し、その特徴を自覚することが有効だ。


この「日本語作文術」は凄く良いことが書いてあるのは確かだけれど、親しみやすいかどうかは分からない。親しみやすさでのオススメは↓



ついでに、個人的に入社1年目に読んでその後の仕事人生に大いに役立ったので感謝している本↓

日本語練習帳 (岩波新書)

日本語練習帳 (岩波新書)