橋爪大三郎の政治・経済学講義
- 作者: 橋爪大三郎
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2008/06/10
- メディア: 文庫
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橋爪先生が社会学の観点から日本の政治経済を斬る。短い論文集の集積。面白いな〜と思いながら読んだ。
本書最終章の素晴らしいコラムから。
日本人はなぜ組織をつくるのが下手くそなのか日本人は近代がわかったつもりでいるが、ほんのうわっ面だ。まったく骨身にしみていない。
(略)
近代の本質。近代の根本。それは人間が一人ひとりまったくバラバラな存在であるということだということである。
(略)
日本人はどんな組織をつくってもいつの間にか共同体になる。組織の存続が自己目的化しはじめるのだ。たとえば軍隊がそうだった。
(略)
(略)のところが、凄く良いので興味のある方は入手してお読み頂きたい。
ビジネススクールでは、「組織行動学」「モチベーション論」を教えることがあっても、「西洋近代とは何か」を突き詰めて議論するようなカリキュラムは殆ど無い。
しかし、本質はそういうところ(根本的に会社組織とは何なのか、個人とは何なのか)というところにある、と、最近また強く思うようになった。
手前味噌だが、色んな企業の人事課題、組織課題、経営課題に取り組んできた経験を踏まえて、「日本人は西洋近代とはかなり別の原理の中で生きている」という事を強く実感せざるを得ない。
そこをしっかり考えないと、グローバル化も上手くいかないだろう。(橋爪先生の表現を借りれば「うわっ面」に終わる)
それにしても、大学時代も、大学院時代も、あまりこういう事を考えなかったのに、30代半ばで独学でどんどんハマっていくとは予想もしなかった。。