人はひとりで死ぬ 無縁社会を生きるために/島田裕巳
人はひとりで死ぬ―「無縁社会」を生きるために (NHK出版新書 338)
- 作者: 島田裕巳
- 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
- 発売日: 2011/01/06
- メディア: 新書
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主張は、今、「無縁社会」はあたかも悪いことのように批判されるけれど、ついこの前まで日本人は積極的にそれ(しがらみだらけの鬱陶しい田舎社会からの脱出)を目指して来たのではないか?その認識を抜きにして、今、右往左往しても意味ないよ。ということ。
確かに、基本的に同感できる主張だ。
ただし、積極的に主体的に目指したのか、それとも、意志なくそうなってしまったのか、についてはもう少し吟味が必要だとも思う。
さて、本題とは少し違うところで面白いなと思ったのは、日本の村落共同体の起源について。
・日本では(東南アジアに比べて)寒冷な気候で稲作をしなければいけなかった
↓
・栽培中の温度を一定に保たなければいけない
↓
・水田は孤立していてはだめで、隣りの水田と水路で繋がっている必要がある
↓
・一人で物事を決める、単独行動は出来ない(自分だけで変なことをしたら、他の人に迷惑をかける)
↓
・寄りあいによる全員一致を原則とする(個の希薄な)日本的共同体が産まれる
ということが書いてあった。学術的に確かな理解なのかは分からないが、論理の筋としては分かる。
そして、本書では、農村の解体と都市化の進んだ日本において、企業が果たしてきた共同体的役割に議論が続く。
ちょうど私も、日本企業の共同体性についての小論をある雑誌向けに書いたところだったので、興味深く読んだ。
追記)丁度同じ日に同じテーマを扱ったもっとしっかりしたエントリがあったのでご参考に添付します。