赤めだか/立川談春


赤めだか

赤めだか

赤めだか(あかめだか)は落語家立川談春のエッセイである。 扶桑社の文芸季刊誌「en-taxi」の2005年春号から2007年秋号まで連載した。当時のタイトルは「談春のセイシュン」だった。2008年に改題し、同社に刊行した。
物語は1984年に高校中退そして7代目立川談志に入門してから、1997年の国立演芸場で開かれた第6回真打トライアルそして真打昇進までの苦難と葛藤を描く。
各界の著名人が高く評価し、「本の雑誌」2008年上半期エンターテイメント第1位に輝いた。

wikipediaより

一つ前のエントリに立川談志のことを書いたことで、この素晴らしい本のことを思い出したのでご紹介したい。評判の高い本で、僕としても、2008年の1年間に読んだ80冊近くの中でトップ3に入る面白さを感じた作品だ。この本は、立川談志という人を知るための絶好の入門書*1の一つとなるだろう。




ただし、話の本筋は、書き手である談春青年が、一つの道を志し、OJTと挫折の中で、仕事人(落語家)として成長していくキャリア論であり仕事論であり、師弟論である。(言うまでもなく、談志は師匠として登場する)

ちょうど2008年にこれを読む少し前、松尾先生の「経験からの学習〜プロフェッショナルの人材育成〜」という研究書と、内田樹の「下流社会」(教育論・師弟論がテーマ)を読んでいた。それら両書(学者によるもの)の知見と、本書で語られる具体例(落語家の成長)は見事に合致する。「プロ・専門家の人材成長」の核心が少しだけ分かった気分になった。




本書『赤めだか*2』はそろそろ文庫になりそうな気もするけど、別に落語に興味がなくとも、幅広い人にオススメできる好著です。





(関連文献)※この三冊をセットで読むというのは意義があると思う。


経験からの学習-プロフェッショナルへの成長プロセス-

経験からの学習-プロフェッショナルへの成長プロセス-



下流志向〈学ばない子どもたち 働かない若者たち〉 (講談社文庫)

下流志向〈学ばない子どもたち 働かない若者たち〉 (講談社文庫)

*1:弟子が書いた本だから美化はされていると思うけど

*2:タイトルに隠されている意味がまた良いんです。