日本人にとっての心地良さがすべて

以下の動画は、橋爪大三郎教授が、恩師、小室直樹先生を招いて「日本人と宗教」について対話したものである。

http://www.dailymotion.com/video/xxhxe_yyyyyyyyyy_news

奇才、小室直樹博士は見るからにご高齢の様子で、見ていて「大丈夫かな」と思うが、頭脳は明晰である。

この動画の中で、橋爪先生が小室先生に、「(西洋的な宗教心を持たない)日本人は結局どういう原理で動いているんですか?」と尋ねる。

すると、小室先生が

「要するに、日本人にとっての心地良さがすべて、ということです」

と答える。

最初、この問答を聴いたときは、「何じゃそれ」と笑ったのだが、そのあと色々考えていて「このフレーズこそが核心」
と思うようになった。

震災以降の対応を見ていても、本当にそうである。

たとえば、東電の問題。

法的根拠に基づかない総理の個人的な「要請」で、科学的にも疑問の多い「浜岡停止」も、あっさりまかり通る。

原発被害の賠償問題も然り。

この賠償は、一義的に東電が担うのは当然として、足りない分はどういう形であれ、我々日本人が払わなければいけないものだ。どこからか、お金が湧いているくるわけではない。それなのに、「電気代を上げたくない(上げるといって、選挙民に嫌われたくない)」、とか、「税金も嫌だ」とか騒いだあげくに、銀行に債権放棄してほしいとの「要請」。日本は法治近代国家ではなく、大きな一つのムラ社会、ということがよく分かった。(前々から感じてはいたがここまでムラ的とは思わなかった)

ムラの中で事故が起きた。ムラの中で解決しなければならない。ムラ人達が「心地良い」と感じることが第一で、法律も手続きも正義論もそれに劣後する。(ムラ人ひとりひとりから薄くカネを出させるよりも、カネを持ってそうで日頃から嫌われている庄屋に出させる、方が丸く収まるというわけだ)日本は、今も昔もそういう風にやってきたのであって、「西洋だったらこんなことはあり得ない」と怒っても虚しいだけだ。

別に、ムラが悪いとは思わない。せめて、ムラ流の上手い解決の知恵が出ることを祈る。

次世代につけ回す、っていう解決策無しで。