雑司ヶ谷R.I.P/樋口毅宏

雑司ヶ谷R.I.P. (新潮文庫)

雑司ヶ谷R.I.P. (新潮文庫)


マンガを小説でやったようなデタラメ破天荒な小説シリーズ第二作だが、著者なりの戦後日本社会批評にもなっている。

エロ・暴力は好みが分かれるところだろうけれど、こんな小説があっても良いと思う。自分は(前作も読んでいるし)、本書の下敷きになっている「ゴッド・ファーザー」好き、かつサブカル好きなので、十分楽しめた。

それにしても、アマゾンのレビュー、「タモリ論」が60件以上に対して、本書10件以下というのはどうなのだろう。著者が執筆に掛けている労力は逆だろう。「この受け止め方こそが日本の大衆ですよ」というような主張が本書の中に多数登場していたことを考えると、その主張が著者への評価として現実世界で実現してしまっているのはなんとも皮肉である。

あとがきとして収録されている「図書館への依頼」は、同感できる部分が多い。著者に敬意を表して、文庫だけど本屋で新品を買いました。