爆速経営 新生ヤフーの500日/蛯谷敏


爆速経営 新生ヤフーの500日

爆速経営 新生ヤフーの500日


ヤフーの経営陣交代と、そこからの目覚ましい変革をまとめた本。特に人事制度も大胆に改革した、ということで気になっていたので読む。


一連の改革は「好業績だけど停滞している企業、そこをどう活性化するか」「基本的には改革はトップ主導。ただし、改革のゴールは分権的で自律的な組織づくり」というものだ。


人事制度改革については第6章に触れられていた。

ヤフー経営陣が助言を仰いだ、ソフトバンク青野人事部長*1の言葉が明快。

人事評価制度の要諦は3つしかない。

まず、頑張る人が報われるということを社内に周知すること。

そして、実際に頑張った人に報いること。

さらに、どうしたら報われるのか、その基準を明確にすること。

(P.194)

さらに、ヤフーでは、「新しい価値観を共有させるには評価制度にそれを織り込むしかない*2」としてバリュー評価を導入する、ワンオンワンミーティング、ラインマネージャーと育成担当マネージャーのダブルボスシステム、など非常に明快なHRMを導入していることが紹介されており、HRM改革のケーススタディとして非常に勉強になるものだと思う。



ちなみに、組織の再設計については第5章が当てられている。分権(スタートアップ期)→集権(巨大企業期)→分権(今回の改革で再活性化)という一連の流れは、組織論の授業のケーススタディにももってこいだろう。



最後に「ヤフー経営陣が改革にあたって参考にした経営書」が掲載されているのがユニーク。個人的にも良いなと思っていた本が多数掲載されていて、コンサルタント読書家として、こういう本が実務に大いに役に立つのだ、と勇気づけられる。このリストを掲載してしまうのはなにか反則のような気もするので書店で手に取って見てみて下さい。

*1:この方は、私も長年寄付している「あしなが育英会」の出身者だと聞く。そう思って見ると、この言葉の背景が分かるような気もする。

*2:この原理については、Facebook社へのヒアリングで確信したそうである