戦略シーケンス…日経ビジネス連載「マクドナルドCEO原田泳幸の経営教室」より

日経ビジネスで、7/11号から連載が始まった「マクドナルドCEO原田泳幸の経営教室」が面白い。

連載第2回では、「戦略シーケンス」として、経営の施策展開の「順序」に力点を置いた解説。この種の事は意外に具体的な事例で分かりやすく説明される事が少ないので貴重である。ジグソーパズルの模式図を使った日経ビジネスの図解もGood。戦略論に興味のある方は手にとってみると良いと思う。

以下、雑談ながら。

戦略論というと、ポジショニングビューとリソースベースドビューの2つの見方が有名だ。しかし、それと少し分析の角度を変えて「時間展開」を強調する戦略論の学者も少なからず居る。さらに、実際の経営者になると、この「時間展開」をとても重視する方が多いと思う。原田氏が今回語った「戦略シーケンス」と、ミスミCEOの三枝匡氏が著作の中で「経営の因果律」という言葉で表現しているものとは、おそらく同じものだろう。

「時間展開を加味した、戦略的思考」を体得するためにはどうしたら良いか・・・と考えて思い浮かぶのは実はボードゲームである。将棋とか、囲碁とか。原田CEOはマージャン好きを公言しているが、マージャンも良いのかもしれない。

これらのゲームでは、相手の出方を少し先まで読んでから、今の段階で自分が取るべき手を考える。そして、その際、当たり前だけど、ゲームでは、「一手」しか指すことはできない。何もかも同時に、するわけにはいかないのだ。これが会社の施策になると、一転して、何もかも同時にしたくなる人が多いのはなぜだろう。


更に、思い出したことがある。僕が昔通っていた大学院で戦略論を担当していた沼上幹先生は、「時間展開を加味した戦略論」を重視する方だった。入学当初のオリエンテーション合宿では「ディプロマシー」というヨーロッパ軍事のシミュレーションのゲームをこの先生の肝いりでやった。そのゲームをやらせる狙いこそ、「時間展開」を加味した戦略の妙味を体感させる、というものであったと記憶している。ディプロマシーの本物(リアルボードでの対戦)をかなり長時間掛けてやれたのは、良い経験だった。この先、もうディプロマシーやる機会もなさそうだしな…。