ハーバードでいちばん人気の国・日本 佐藤智恵

 

 

 

 

売れているらしい。

 

最近流行の日本人セルフ慰撫モノかな、と感じていたので、自分からは手に取らなかったのだが、人が貸してくれたので読んでみた。


なんとなく、懸念的中である。序章に顕著だが、著者の「日本は一番人気」「日本が最も注目されている」というくだりは、ほとんどが他国との相対比較のない記述であり、根拠を感じない。僕の好みではない。

 

ただし、第5章で紹介されている、「原爆投下のケース」を使った「モラルリーダー」というテーマの学び、や、福島第二原発所長の増田氏を題材としたレッスンなどは、さすが「ハーバードやな」と思わせる教育内容だ。「こうした事を日本の教育機関がもっと自国で行う、英語で発信することが必要なのではないか」と思いながら読み進めたら、著者もそういう結論で5章を締めていた。結論が同じだっただけに、「日本が一番人気」と不必要(と僕は思う)に推す筆致が気になった。

 

本を売るためのマーケティング戦略なのだろうから、著者の本意なのかどうかはわからない。そして実際に、その戦略で売れているわけだから、それも正義なのかもしれないが。