成長から成熟へ


経済や経営を論じる上で、「成長」から「成熟」へということがよく言われる。大体、成長・拡大・もっともっと!を前提としたシステムはもう立ち行かない、これからは成熟を目指してシステムや価値観を変えていくべきだというような話になる。

べき論として反対する人は少ない。しかし、「それはそうだけど、具体的にどうすればいいの?自分は嫌だよ」という総論賛成、各論反対になりがちなテーマだとも思う。

この前終わったバンクーバーオリンピックパラリンピックを見ていて上のことを思い出した。日本は、オリンピックでは昔のようにメダルが取れない。国威発揚に燃える新興国に追い上げられ、成績が振るわない。景気も悪くて強化費も出ないし、選手の根性も無いとか批判ばかりされる。でも、パラリンピックでは、かなりの好成績を残している。これは、色々と批判もあるのだどうけれど、弱者、福祉分野の底が厚いことの一つの証明である。これが「成熟国」のあり方と言えるのかもしれない。その割に、マスメディアをはじめ、そういう文脈でパラリンピックの好成績を論じる声はあまり大きくないようにも思う。

「悪い、悪い」と批判されることの多い日本の企業だけれど、こういう風に見方を変えたら、十分な成熟経営をしている企業は既にたくさんあるに違いないと思う。