こんな日本でよかったね/内田樹
内田樹のブログをまとめたもの。
- 作者: 内田樹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2009/09/04
- メディア: 文庫
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平易だし、内田樹の入門編としても良いかもしれない。ブログからの再編集ゆえに、断章的でまとまりがなく感じるかもしれないが、自分としては、改めて読んで、自分自身が内田樹からいかに多くの影響を受けているかを再確認。
他の著書を読んでも思うことだが、この人は、いつも「まえがき」と「あとがき」がものすごく上手い。上手いを通り越して巧妙、いやらしい、とも言う域。本書のまえがきに述べられた「構造主義者としての知性のあり方」は非常に平易で納得。
さて、本文の方からも一箇所抜粋を。
成果主義は、この「成果にはカウントされないが、システムの崩壊をあらかじめ救ったふるまい」をゼロ査定する。
完全な成果主義社会では、システムの崩壊を未然に防ぐ「匿名で行われ、報酬の期待出来ない行為」には誰も興味を示さない。私たちの社会はそんな風にして、次第に危険水域に近づいている。
「誰の責任だ」という言葉を慎み、「私がやっておきます」という言葉を肩肘はらずに口にできるような大人をひとりずつ増やす以外に日本を救う方法はないと私は思う。
前途遼遠だが、それしか方法はない。
P177より
人事コンサル業に携わるものとして、これは「成果主義」という狭義の問題ではないと反論したいが、最後の結論は全く同感。というか、この点こそ、内田樹を色々読んで学んだことかもしれない。
他にも切れ味の良い説(節)が多々あります。