日本人ビジネスマン「見せかけの勤勉」の正体/太田肇

「見せかけの勤勉」の正体

「見せかけの勤勉」の正体


「承認欲求」や「認め上手」といった書籍でもおなじみの太田先生の近著。大変、面白い内容で幅広い方に、推薦できます。
 
 自分は、先生の主張を全て受け入れられるわけではないですし、今、色々と個人的に考えていることがあって、なかなかクリアに考えがまとまりませんでしたが…。

 その考え事とは、「日本人は本性として、勤勉な民族か」という問いです。これには、賛成論も反対論もあります。どちらの論にもそれなりにかなりの説得力があります。両者の論点を読みすぎて頭が混乱中という状態です。賛成論としては、山本七平「日本資本主義の精神」的な日本型ピューリタニズムの思想痕跡を説く本。読んでいて非常に共感できるのですが、実証不可能なようにも思います。反対論としては、「人間はインセンティブと性格の奴隷である*1」という言葉に代表されるように、日本人が本来勤勉な民族、というよりは、勤勉になると得になるというインセンティブ構造が戦後の一時にあったから、という経済学的理解、更には、歴史を遡れば日本人はそんなに勤勉じゃなかったよ、というような民俗学的研究などもこれを支持する証拠を提示しています。おそらく賛成論と反対論はどこかでインテグレートできるような気もしますが。考えるほどに分からなくなるので取り敢えずこの辺で…。




 さて、太田先生は、本書の中で、日本人は過剰な「やる気至上主義」である。「やる気」を評価するのではなく「仕事の結果」を評価すべきだ、と明確に主張されています。言葉を変えて、「上司は仕事を管理すべきで、相手の人間そのものを管理しようとすべきではない」ともお書きになっています。


 皆さんは、この主張に対して賛成でしょうか。反対でしょうか。


 私自身は「仕事管理派」を心掛けているのですが、それが正解なのか、他の人にも「そうあるべきだ」と説いて良いのか、何だか確信は持てません。

*1:冨山和彦氏の著作『会社は頭から腐る』に出てきた言葉で、好きなフレーズです