ノーベル平和賞と08憲章と普遍主義

ノーベル平和賞に、中国の反体制作家、劉暁波氏が選ばれたということがニュースになっている。

ちょうど今、個人的に参加している勉強会で「西洋的普遍主義」について検討している最中でもあり、構造主義とか相対主義とかをもう一度勉強しなおしているところだった。

難しいことはさておいて、同氏は、以下の文章を発表したことにより「国家政権転覆扇動罪」で懲役11年を受けている。

どんな過激文書かと思ったら、過激でもなんでもない内容であることにビックリした。

二、我々の基本理念

 中国の将来の運命を決めるこの歴史の岐路に立って、百年来の近代化の歴史を顧みたとき、下記の基本理念を再び述べる必要がある。

自由:自由は普遍的価値の核心である。言論・出版・信仰・集会・結社・移動・ストライキデモ行進などの権利は自由の具体的表現である。自由が盛んでなければ、現代文明とはいえない。

人権:人権は国家が賜与するものではなく、すべての人が生まれながらに有する権利である。人権保障は、政府の主な目標であり、公権力の合法性の基礎であり、また「人をもって本とす」(最近の中共のスローガン「以人為本」)の内在的要求である。中国のこれまでの毎回の政治災害はいずれも統治当局が人権を無視したことと密接に関係する。人は国家の主体であり、国家は人民に奉仕し、政府は人民のために存在するのである。

 平等:ひとりひとりの人は、社会的地位・職業・性別・経済状況・人種・肌の色・宗教・政治的信条にかかわらず、その人格・尊厳・自由はみな平等である。法の下でのすべての人の平等の原則は必ず実現されなければならず、国民の社会的・経済的・文化的・政治的権利の平等の原則が実現されなければならない。

 共和:共和とはすなわち「皆がともに治め、平和的に共存する」ことである。それは権力分立によるチェック・アンド・バランスと利益均衡であり、多くの利益要素・さまざまな社会集団・多元的な文化と信条を追求する集団が、平等な参加・公平な競争・共同の政治対話の基礎の上に、平和的方法で公共の事務を処理することである。

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全文も知性が感じられて感動的、というような印象もある。ぜひ興味のある方は全文を読んでいただくと良いと思います。

08憲章 全文


もちろん、自由・人権といった西洋起源の概念が無条件に優れていると考えるべきではないが、それにしても、これ書いて「国家反逆扇動罪」というのは…。

日本は、なんと素晴らしい国であることか。

その事を日本人自身がよく自覚することが必要だ。